太陽光発電所 MVS 変圧器の位相・巻線抵抗試験とは

こんにちは、匡電気管理事務所です。

先日、太陽光発電所のMVS(Medium Voltage Station:昇圧変電設備)にて、2000kVA 油入変圧器(Dy11結線)の位相試験と巻線抵抗測定を実施してきました。

どちらも変圧器の健全性を確認するうえで欠かせない重要な試験です。

今回は、この2つの試験について「なぜ行うのか」「何を確認しているのか」をご紹介します。

目次

MVS(昇圧変電設備)とは?

大規模な太陽光発電所では、パワーコンディショナ(PCS)から出力された電力を、変圧器で高い電圧に昇圧してから系統へ送電します。

この昇圧用の変圧器・開閉装置・保護継電器などを一体化した設備がMVS(昇圧変電設備)です。

MVSの心臓部である変圧器にトラブルがあると、発電所全体の停止や系統側への波及事故につながるおそれがあります。

そのため、受電・連系の前に現地で各種試験を行い、変圧器が設計どおり・健全な状態であることを確認することが非常に重要になります。

MVS盤内での現地試験の様子

位相試験の目的

変圧器には「結線方式」があります。

今回の変圧器はDy11で、一次側がデルタ結線・二次側がスター結線、二次側の電圧位相が一次側に対して30度進んでいることを意味します。

位相試験では、この結線・極性・位相変位が銘板表記どおりに正しく施工されているかを確認します。

なぜ位相確認が必要なのか

  • 誤結線の検出 
    製造時や輸送・据付後の内部接続に誤りがあると、通電した瞬間に大きな循環電流や短絡事故につながるおそれがあります。
  • 系統連系の前提条件
    系統側と位相が合っていなければ、そもそも安全に連系することができません。
  • 保護継電器の整定との整合 
    保護リレーの電流位相の演算は変圧器の結線方式を前提に設計されているため、位相がずれていると保護が正しく機能しません。

試験では低圧の試験電圧を印加し、各端子間の電圧関係を測定してベクトル図を作成し、銘板の結線記号と一致しているかを照合します。

地味な作業に見えますが、「通電する前にしか確認できない」重要なチェックポイントです。

現地ではどうやって測るのか

代表的なのがU-u短絡法と呼ばれる方法です。

一次側のU端子と二次側のu端子を短絡して両者の基準点を揃えたうえで、一次側に三相の低電圧(今回は200V)を印加し、一次-二次の各端子間電圧を測定します。

測定した電圧値をもとに作図したものが、下の合成ベクトル図です。

角変位確認:高圧側Δと低圧側Yの合成ベクトル図(低圧側が30°進み)


紺色の三角形が高圧側Δの線間電圧、黄色の矢印が低圧側Yの相電圧を表しています。
低圧側の各ベクトルが高圧側に対してきれいに30°進んだ位置に収まっていれば、Dy11として正しく結線されていることが確認できます。

逆に、ここで角度がずれていれば結線に誤りがあるということになります。

特別な測定器を必要とせず、電圧計だけで確認できるのがこの方法の利点です。

巻線抵抗測定の目的

巻線抵抗測定は、変圧器内部の巻線に直流電流を流し、その抵抗値を精密に測定する試験です。

この試験で分かること

  • 巻線の断線・素線切れ 
    抵抗値が異常に大きい場合、内部で断線や接続不良が疑われます。
  • 接続部・タップ切替器の接触不良 
    リード線の圧着不良やタップ切替器の接触抵抗増大は、運転中の局部過熱・焼損の原因になります。
  • 三相間のバランス 
    三相の測定値を比較し、相間の偏差が基準値内(一般に平均値の±2%以内が目安)に収まっているかを確認します。

巻線抵抗は温度によって変化するため、測定時の巻線温度を記録し、基準温度(75℃)に換算して工場試験成績書の値と比較します。

工場出荷時の値と現地測定値が整合していれば、輸送・据付の過程で内部に異常が生じていないことの裏付けになります。

現地試験の積み重ねが発電所の信頼性をつくる

位相試験も巻線抵抗測定も、竣工検査や使用前自己確認の一環として行われる試験です。

一つひとつは短時間の試験ですが、これらを確実に実施し記録として残しておくことで、次のような大きなメリットにつながります。

  • 受電・連系時の事故防止
  • 将来の経年劣化診断における「初期値」の確保
  • トラブル発生時の原因切り分けの迅速化

まとめ

このブログでは、竣工検査や使用前自己確認の一つとして行われる「位相試験」と「巻線抵抗測定」について紹介しました。

匡電気管理事務所では、このような試験を積み重ねて、安全・安心をお届けします。

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